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国沢実『THE レイパー〈闇サイト編〉 美姉妹・肌の叫び』

  • Posted by: hidesmile
  • 2013年1月27日 10:31 AM
  • 未分類
2010年の国沢実監督『THE レイパー〈闇サイト編〉 美姉妹・肌の叫び』

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脚本は新耕堅辰、撮影は石山稔、照明は小林敦、編集は有馬潜、録音はシネ・キャビン、助監督は小川隆史・桑島岳大、撮影助手は戸田聡甲、監督助手は加藤学、効果は梅沢身知子、協力は江尻大・小林徹哉・アシスト・石谷ライティングサービス、現像は東映ラボ・テック、スチールは本田あきら。製作はフリーク・アウト、提供はオーピー映画。
なお、直接の関連性はないが国沢実は2007年に『THE レイパー 暴行の餌食』という作品を撮っている。


こんな物語である。ネタバレするので、お読みになる方はご留意されたい。

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毎晩のように、同じ夢を見てうなされる矢神真奈(成田愛)。夢の中で、彼女は男たちにレイプされる若い女を見ている。そして、真奈は一人暮らしのマンションの部屋で、いつも誰かの視線を感じている。
そんなある日、真奈に気のある会社の同僚・幾原伸二(丘尚輝)に誘われ、仕事の後二人で飲みに行った。酔っ払った真奈を送り届けた幾原は、好きだと言いながら彼女を押し倒した。その時、真奈は夢の女がフラッシュバックして、幾原を突き飛ばした。
夢の中の女、それはたった一人の妹・麻衣(水井真希)だった。彼女は、忌まわしい“あの記憶”を心の奥深く閉じ込めていたのだ。

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一年前、真奈と麻衣は帰宅途中で四人の男たちに拉致される。ワゴン車で連れて来られたのは、ベッド以外何もないコンクリート打ちっ放しの廃ビル。そこで、姉妹は先程の仮面をつけた男たち(太田始、松本格子戸、マイト和彦)にレイプされたのだ。リーダーは帽子を被った透野(川瀬陽太)。
レイプ中に気を失った真奈が目を覚ますと、麻衣はベッドで自殺していた。

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夢の意味に気づいた真奈は、妹のためにも自分は幸せになろうと決意。彼女は、幾原と付き合い始める。
その数日後、真奈の携帯が着信する。電話の主は、「お前だけ幸せになるとは、いい気なもんだな」と言った。透野だった。レイプ犯たちは、いまだに彼女を監視していたのだ。
帰宅した真奈は、郵便受けに入った茶封筒を見つける。中に入っていた紙片には、IDとパスワードが記載されていた。恐る恐る闇サイト「Peep Show Live!」にアクセスして真奈が動画を再生すると、そこに流れたのは、一年前のレイプの映像だった。
続いて、今部屋の中にいる自分の姿が。彼女が感じていた視線、それは隠しカメラだった。真奈は、本当の真相を思い出す。

あの時、犯される麻衣を尻目に、一瞬の隙をついて真奈は部屋を飛び出した。自分さえ助かれば、それでいいと思った。しかし、彼女は透野に捕まり連れ戻させる。彼女が再び犯されることはなかったが、レイプが終わった後で麻衣は姉の目の前で自殺を遂げたのだった。
またしても、透野が電話をかけて来る。今でも真奈の姿は人気動画として配信され続けているのだと、透野は笑った。部屋でモニターを食い入るように見つめる透野のことを、隣にいる同じ組織の聖羅(セイラ)が嫉妬した。

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すべてを思い出し、再びレイプ犯を傍に感じる真奈は、またしてもかかって来た透野の電話に「自分は、逃げも隠れもしない!」と対決姿勢を露わにした。

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透野は、闇サイトで別の女の動画を配信する。カメラに向かって自慰をする女・佐原由利(伊沢京子)は、何不自由なく生活する有閑マダム。彼女は満たされ過ぎて退屈な人生の空虚を埋めるべく、自ら組織にアプローチした女だった。

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真奈の挑発に乗った透野は、再び彼女を拉致。連れて来たのはあの廃ビルだった。しかし、今回透野はレイプ実行犯を引きはがして、自ら真奈を犯した。組織からすれば、これは掟破りの暴走行為だった。
組織は真奈の動画配信をやめ、透野を組織から追放。透野は廃人同様になり、街を彷徨うようになる。
真奈は、会社を無断欠勤して姿を消した。

透野を組織から追ったのは、幾原。彼はいまだユーザーからの配信要望が絶えない真奈の代わりに、聖羅に「真奈の代わりになれ」と命じた。
聖羅は、公園のベンチに呆然と座る透野を見つけると、部屋に呼び込んで交わった。

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幾原は、街で偶然真奈に出くわす。折原の部屋にやって来ると、真奈は彼の上に乗った。真奈は、部屋の中にある隠しカメラに向かって笑った。

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何とも混沌とした作品である。
前半は凄まじいテンションで突っ走るのだが、後半でいきなり物語はパラノイアチックに迷走してしまう。残念である。
ただ、この時期のオーピー映画でよくもここまでやれたよなと思う。

もちろん、いくら忌まわしき記憶だからと言って真奈が妹もろとも記憶を喪失するのはどうかと思うが、それはまあピンク映画の宿命と言えなくもない。
影で組織を操るのが丘尚輝というのは、さすがに何とかしてほしかったが。

とにかく、オープニングの悪夢から畳みかけるような監禁拉致の回想シーン。そして闇サイト組織の透野との再会まで、物語は一切の弛緩もなく突き進んでいく。
それがおかしくなるのは、聖羅が絡んで以降である。純然たる絡み要因に近い由利の描き方も、甚だ中途半端。
その辺りも含めて、より真奈と透野の業に満ちた精神性をあぶり出すことができれば…と思う。

それが、後半の透野の暴走から物語は伏線を回収できぬまま、強引に幕が下ろされてしまう。
結局のところ聖羅という女は何なのか?失踪した真奈の真意は何か。そして、新たな落とし前としての幾原の対決は。その辺りのことは、すべて物語の外に投げ出されたままだ。

国沢組で三本主演した成田愛は、これが最後のピンク映画出演。今でも女優として活動する彼女のブログを読むと、本作撮影時にアクシデントがあったようだ。真奈の声も、成田の声でなくアテレコだ。
詳細は不明だが、現場は相当に混乱したのだろう。

役者陣に目を向ければ、やはり圧倒的なのは川瀬陽太の演技。本作が纏うダークな禍々しさを体現している。

これがピンク映画デビュー作で現在まで国沢作品のみに三本出演している水井真希は、強烈な印象を残す。水井のダークな演技は、恐らく誰にも真似できない彼女の個性だろう。得難い女優である。

もし、本来のプラン通りに撮れていれば…。
そう思わずにはいられない、悔恨の一本である。

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